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勝五郎の読書雑記

植物はヒトを操る

いとう せいこう (著), 竹下 大学 (著)
★★★☆☆
内容説明
ベランダで自己流園芸に勤しむクリエーターのいとうせいこう氏と、世界的な花の育種家(ブリーダー)の竹下大学氏が、不可思議な植物の世界をめぐって深淵で刺激的なサイエンス・トークを繰り広げる。
本書のタイトルは、人類は植物を利用して文明を発展させてきたが、実は植物の方が種の繁栄のために人間を利用しているのではないかという発想によるもの。
動物との共進化に代表される植物の生存戦略、日本人の死生観と植物の関係性、生殖から考えるオスの存在意義など多方面から植物にまつわるエピソードと可能性を語る壮大な対談集。植物と人間の新しい関係が見えてくる、花とサイエンスの超入門書。

植物が美しく色鮮やかな花で昆虫を誘き寄せて自己の繁殖に役立たせようとしていたところ、とあるネアンデルタール人が仲間の墓に花を摘んで添えたことによって、初めて花が植物自身の狙いとは別の使われ方をしたのだという。
この説が嘘だという説もあるようだが、いずれにしてもその後の人間の誰かが花を美しいと思って摘んだのは確かだ。
この使われ方は植物の本意ではないと考えることもできるが、この花の美しさに魅了された人間が今いろんな花をセッセと育て繁殖させていることを考えると、それはやはり植物が意図した通りの結果で、つまり植物は人を操っているのだという考えが紹介されている本であった。
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by furomikan | 2013-05-29 00:18 | 読書雑記