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勝五郎の読書雑記

アメリカ彦蔵

吉村 昭 (著)
★★★☆☆
内容(「BOOK」データベースより)
嘉永三年、十三歳の彦太郎(のちの彦蔵)は船乗りとして初航海で破船漂流する。アメリカ船に救助された彦蔵らは、鎖国政策により帰国を阻まれ、やむなく渡米する。多くの米国人の知己を得た彦蔵は、洗礼を受け米国に帰化。そして遂に通訳として九年ぶりに故国に帰還し、日米外交の前線に立つ―。ひとりの船乗りの数奇な運命から、幕末期の日米二国を照らし出す歴史小説の金字塔。

吉村昭氏の名作「漂流」の長平たちは無人島に流れ着き、三浦綾子の「海嶺」の音吉たちは北米に流れ着いた。
今回読んだ「アメリカ彦蔵」の彦蔵(彦太郎)たちは洋上でアメリカの商船に助けられたくさんの人たちの善意を受けて生き残ることができた。
この善意が生やさしいものではなく、異国の見知らぬ平たい顔族の彦蔵に徹底的に施されて、施されまくる。
この善意を彦蔵は徐々に期待し、受けられて当たり前と感じているのではないかと思ってしまうくらいどんどん享受していくところが少々悲しい。

でも横浜村で攘夷の過激派にビビりまくったり、郷里姫路の貧しい様子に落胆したりする様子に可笑しみを感じる。
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by furomikan | 2012-04-22 20:58 | 読書雑記