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勝五郎の読書雑記

男どき女どき

向田 邦子 (著)
★★★★☆
人は毎日小さな感銘に助けられて生きている。最後の小説とエッセイを所収、人生の〈大切な瞬間〉を綴った作品集。
何事も成功する時を男時、めぐり合わせの悪い時を女時という――。何者かによって台所にバケツごと置かれた一匹の鮒が、やがて男と女の過去を浮かび上がらせる「鮒」、毎日通勤の途中にチラリと目が合う、果物屋の陰気な親父との奇妙な交流を描く「ビリケン」など、平凡な人生の中にある一瞬の生の光芒を描き出した著者最後の小説四篇に、珠玉のエッセイを加えた、ラスト・メッセージ集。

この人の本は何度か読もうと思ったことがあるが一冊の本を読んだのは初めて。
短編「鮒」と「ビリケン」は立派な衝撃を受けるほどの出来栄えで、向田邦子氏に畏敬の念を抱いた。

「一人暮らしを始めて、お婆さんのような姿勢でいる自分に気づいた」とか「人が見ていない所ではズルをしてしまう」とかの告白的なエッセイで誠実さをだそうとする誠実さがすんなり入ってきた。
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by furomikan | 2011-11-17 00:05 | 読書雑記