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勝五郎の読書雑記

祈りの木

高田 宏 (著/文), 阿部 幹雄 (著/写真)
★★★☆☆

<内容(「BOOK」データベースより)>
雑誌『フォーカス』で1992年5月から94年8月まで110回連載され、大反響をよんだ「樹齢探検」(写真・阿部幹雄)のなかから、40本の巨樹を厳選。それぞれの木について、作家・高田宏が書き下ろしのエッセイを寄せた。写真家の目と作家のことばが、巨樹の個性、存在感、そして美をとらえる。

こんな文章があった。
「樹木は内側で新しく装い、外側に古着をつける。悪天候にさらすのは粗布だが、じかに触れる裏地のためには、織りたてのきめ細かな布をとっておく。私たちのモードはちがう。私たちは外側に高価な布をもちいて、雨にうたれほこりや泥の汚れにさらしておきながら、裏地には安い布をあてる。思うに、樹木のほうが筋道がとおっている。樹木は自分自身のためだけに衣服をつけ、私たちはいくぶん、いや、むしろ多くの場合、他人のために装う。」
これは著者が引用したファーブルのことばであるが、自然と人間の違いをよく表している。子どもは生まれた最初は自然であるが、だんだんと人間になっていくのだ。
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by furomikan | 2011-03-26 11:45 | 読書雑記