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勝五郎の読書雑記

まさかジープで来るとは

せきしろ (著), 又吉 直樹 (著)
★★★☆☆
<内容(「BOOK」データベースより)>
妄想文学の鬼才とお笑いコンビ「ピース」の奇才が詠む、話題の自由律俳句集第二弾。センチメンタル過剰で自意識異常な自由律俳句六〇七句、散文十五篇収録。

期待通りくらいに面白かった。
似た感覚を持つふたりが自分の周りの風景のなかの一瞬の寂寞とした場面を短い言葉で切り出すという作業を対決するように続けていく。両者それぞれの出だしの4句は下記の通り。

せきしろ
- 老いた父が固い蓋を開ける
- 八両編成だった
- ツッパリ棒が外れて落ちる音がした
- こんな時間に家族連れが

又吉直樹
- 廃校にも咲いていた
- イントロは良かった
- こつが解ったから早くやりたいと焦っている
- こんな大人数なら来なかった

意味不明のものや共感できないものも中にはあるが、面白いと感じたのは以下のようなもの。

- 転んでも泣かなかった子供と目が合う
- 両手を使って数えている
- くす玉の残骸を片付ける人を見た
- あの不良去年までは地域のゴミ拾いにも参加してた
- 夏祭りに行くか迷っているふり
- 借りた鉛筆が薄い
- 墓に大男がいた
- 泣いていないが迷子だろう
- 自分が注文した料理が余っている
- 間違えて押した階で降りる
- 外の匂いがするジャンパーを脱ぐ
- 補欠の靴下なのに座敷

時折入る散文にもセンスを感じるものがいくつかあった。一作目の「カキフライが無いなら来なかった」もぜひ読もう。

- 目のところに画鋲を刺される運命
- 様子のいい女性靴だけが汚い
- 爪光る乳飲み子の踵光る
- 二匹の犬がいて通れない
- 権利を主張しすぎて命を落とす

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by furomikan | 2011-03-20 11:37 | 読書雑記