勝五郎の読書雑記

一週間

井上 ひさし (著)
★★★★☆
【本の帯より】
昭和二十一年早春、満洲の黒河で極東赤軍の捕虜となった小松修吉は、ハバロフスクの捕虜収容所に移送される。脱走に失敗した元軍医・入江一郎の手記をまとめるよう命じられた小松は、若き日のレーニンの手紙を入江から秘かに手に入れる。それは、レーニンの裏切りと革命の堕落を明らかにする、爆弾のような手紙だった…。
『吉里吉里人』に比肩する面白さ、最後の長編小説。

心に残ったのは次の文章。

「なぜ、われわれ日本人は既成事実に容易に屈服するんでしょうな」
「こまった、こまったと繰り言をいうだけで、やがてそのうちにその事実そのものを一つの<権威>と見なして、そのままなにもかも諦めてしまう、そして、事実そのものを突き詰めて考えることを避けてしまう。そのためには事実を忘れてしまうのが一番いい。こうして国際的にも有名なあの<日本人の忘れっぽさ>が育って行った。(後略)」

主人公は既成事実に屈服せず、極東赤軍組織と一人張り合う。
井上ひさしの小説を読むのは初めて。これほどの筆力があることは思えば当然であるが、読んで初めて実に納得した。いずれ映画化される。だろう。
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by furomikan | 2011-01-27 23:52 | 読書雑記 | Comments(0)