勝五郎の読書雑記

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塩狩峠

三浦綾子 (著)
★★★★★
若い時分に読んだ本をまれに読み返すことがあり、この本がそうだった。
若かった私がこの本を読んでいたく感銘を受けたのはラストシーンだけだったと思っていたところ、読み返すと読み易い文章はタンタンと敬虔なキリスト教徒の生き方を紡ぎ出していて、惹きつけていたものが最後の場面だけだった訳ではないことを知った。
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by furomikan | 2016-11-12 23:59 | 読書雑記 | Comments(0)

俄 ~浪華遊侠伝~

★★★★★
司馬遼太郎 (著)
「この銭、貰うた」。逃げた父の代わりに金を稼がねばならなくなった万吉は、身体を張った“どつかれ屋”として身を起こす。やがて生来の勘とど根性と愛嬌を元手に、堂島の米相場破りを成功させ、度胸一の極道屋・明石屋万吉として知らぬ者のない存在となった。そんな万吉に大坂町奉行から密かな依頼がくる。
大侠客となった万吉は、藩州一柳藩に依頼され、攘夷派の浪士たちが横行しだした西大阪を警備する侍大将を引き受ける。おのれの勘と才覚を頼りに、場当たり的に幕末維新から明治の騒乱の中をたくましく生き抜いた“怪態な男”の浮枕を描いた、異色の上方任侠一代記。

お風呂仲間の辻さんに「めちゃくちゃ面白いから読んでみ!」ってお薦めしていただいた本をやっと読んだ。
もうベラボーに面白く、後半などは心臓がドキドキして息苦しくなるくらい緊迫しながらページを捲った。
主人公万吉は奇っ怪な判断基準で次々と大問題を抱えていくが、読み進めていくうちにその判断の基準が見えてくる。判断した後は全て人間味あふれる判断基準で対処し、人間味を溢れさしている。

朝ドラ「あさが来た」と同じような時期が舞台になっていて新選組が登場したり、五代さんもチラっと出てきたりする。この本を読んで、もう一度新選組の本が読みたくなってきた。
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by furomikan | 2016-01-24 23:59 | 読書雑記 | Comments(0)

城塞

司馬遼太郎 (著)
★★★★★
内容紹介
秀頼、淀殿を挑発して開戦を迫る家康。大坂冬ノ陣、夏ノ陣を最後に陥落してゆく巨城の運命に託して豊臣家滅亡の人間悲劇を描く。

後藤又兵衛基次や真田左衛門佐信繁(幸村)、木村重成、塙団右衛門、毛利勝永がいくらかっこ良くても豊臣方が負けてしまうのは分かっており、その中でどう華麗に描かれていても、かえって哀しさが増すばかりで読んでいて切な辛い。

「国盗り物語」であれほどカッコ良かった家康が関ヶ原から大坂の陣でなぜこんなにワル悪い悪役になり腐ってしまったのかは解説されていなかったけど、あれだけの執着心がないと天下を簒することができなかったのだろうということを思えば致し方ないのか。

ふた月ほど前に一心寺の前の神社で偶然見かけた真田幸村の戦死跡之碑。あれを見てたおかげで幸村の最期の場面・情景がよりよく頭に描かれてよかったと思った。
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by furomikan | 2015-12-27 22:37 | 読書雑記 | Comments(0)

新史 太閤記

司馬遼太郎 (著)
★★★★★
日本史上、もっとも巧みに人の心を捉えた“人蕩し”の天才、豊臣秀吉。生れながらの猿面を人間的魅力に転じ、見事な演出力で次々に名将たちを統合し、ついに日本六十余州を制覇した英雄の生涯を描く歴史長編。古来、幾多の人々に読みつがれ、日本人の夢とロマンを育んできた物語を、冷徹な史眼と新鮮な感覚によって今日の社会に甦らせたもっとも現代的な太閤記である。
備中高松城を水攻めのさなか本能寺の変を伝え聞いた秀吉は、“中国大返し”と語り伝えられる強行軍で京都にとって返し、明智光秀を討つ。柴田勝家、徳川家康ら、信長のあとを狙う重臣たちを、あるいは懐柔し、あるいは討ち滅ぼすその稀代の智略は、やがて日本全土の統一につながってゆく。常に乱世の英雄を新しい視角から現代に再現させる司馬遼太郎の「国盗り物語」に続く戦国第二作。

ベラボーに面白い。

尾張中村郷の下層民に生まれながら、その才覚と天運により日本史上初めて天下統一した太閤さんの生涯の物語を人生の中で一度は読むことを声を大にしてお薦めしたい。(ただし、「生涯」といってもこの本は徳川家康への調略が完了したところで終わっている。)

「戦(いくさ)=土木工事」という発想の転換を成し得た藤吉郎の天才性と度量のデカさにしびれる。
次の石田三成の物語も楽しみだ。
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by furomikan | 2015-09-21 10:38 | 読書雑記 | Comments(0)

国盗り物語

司馬遼太郎 (著)
★★★★★
内容(「BOOK」データベースより)
(一) 世は戦国の初頭。松波庄九郎は妙覚寺で「智恵第一の法蓮房」と呼ばれたが、発心して還俗した。京の油商奈良屋の莫大な身代を乗っ取り、精力的かつ緻密な踏査によって、美濃ノ国を“国盗り”の拠点と定めた!戦国の革命児斎藤道三が、一介の牢人から美濃国守土岐頼芸の腹心として寵遇されるまでの若き日の策謀と活躍を、独自の史観と人間洞察によって描いた壮大な歴史物語の緒編。

(ニ) 気運が来るまで気長く待ちつつ準備する者が智者。気運が来るや、それをつかんでひと息に駆けあがる者が英雄。―それが庄九郎の信念であった。そして庄九郎こそ、智者であり英雄だった。内紛と侵略に明け暮れる美濃ノ国には英雄の出現は翹望する気運が満ちていた。“蝮”の異名にふさわしく、周到に執拗に自らの勢力を拡大し、ついに美濃の太守となった斎藤道三の生涯。

(三) 美濃を征服した斉藤道三は義理の子義竜の反乱に倒れたが、自らの天下統一の夢を女婿織田信長に託していた。今川義元を奇襲して鋭鋒を示した信長は、義父道三の仇を打つべく、賢臣木下藤吉郎、竹中半兵衛の智略を得て美濃を攻略した。上洛を志す信長はさらに畿内制覇の準備工作を進めてゆく…。信長の革命的戦術と人間操縦、その強烈な野性を、智将明智光秀を配して描く怒涛編。

(四) すさまじい進撃を続けた織田信長は上洛を遂げ、将軍に足利義昭を擁立して、天下布武の理想を実行に移し始めた。しかし信長とその重臣明智光秀との間には越えられぬ深い溝が生じていた。外向する激情と内向し鬱結する繊細な感受性―共に斉藤道三の愛顧を受け、互いの資質を重んじつつも相容れぬ二つの強烈な個性を現代的な感覚で描き、「本能寺の変」の真因をそこに捉えた完結編。

光秀が信長を討つ「本能寺の変」の名前は知っていても、その事態にいたるまでのいきさつを知っている人は少ない。
そこに至るまでの流れを、光秀の叔母の夫であり、信長の舅である斎藤道三の青年期まで遡って丁寧に物語にしたのが本書です。

主人公は1巻目・2巻目が斎藤道三で、3巻目・4巻目が織田信長と明智光秀と移っていく。初めて読んだら信長の苛烈さに卒倒するかも知れない。
この全4巻は本当に面白く、三日天下の明智光秀なんてつまらない奴じゃないのと思っている人には特にお薦めしたい。光秀は真面目で律儀ないい漢(おとこ)ですよ。また家康の意外な律儀さにも驚く。

光秀が討たれてこの『国盗り物語』は終わるが、そのあとは『新史太閤記』、『関ヶ原』、『城塞』と1615年の大坂夏の陣まで続いていく。
この四部作、20年以上前に読んだけど大坂夏の陣から今年でちょうど400年目ということで読み返している。
来年のNHK大河ドラマの「真田丸」の予習にもなるかもしれないし。(でも子どもたちにチャンネルを取られ、「世界の果てまでイッテQ!」を見てまうんやろ~な。
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by furomikan | 2015-08-27 23:59 | 読書雑記 | Comments(0)

Lizard Telepathy, Fox Telepathy

辺口芳典 (著)
★★★★★

1973年、大阪生まれ。
日本語を駆使して読者の頭の中に意表を突く映像を描かせたり、読者自身予想だにしていない地点に置いてけぼりにさせることに腐心する、ファンキーでファンシー、かつギャラクシーな詩人である。

例えば、前科を持った短歌仲間という設定。
例えば、ツバメの巣に濡れた中指を突き刺す行為。
こわれた公衆電話の上に伊勢海老がこわれていた瞬間、私の精神は成層圏を突き抜けて宇宙空間にまで達した。

この詩集(定価20ドル)は日本語を学びに日本に来ていたアメリカ人の理解者の支援もあった関係でアメリカのシアトルで出版されたため、全ての詩に英語訳が付いている。(というか、米国で出版された本なので日本語の原詩も掲載されていると言った方がいいのか。)
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by furomikan | 2015-02-28 23:59 | 読書雑記 | Comments(2)

セブン

乾くるみ (著)
★★★★★
内容紹介
「――というわけで、うちの寿命の三年と九ヵ月を遣うて、本格的なデスゲームが楽しめるように舞台を整えさせてもらいました」 私立曙女子高等学院の生徒会室に集まった七人の生徒たち。生き残りをかけて互いを出し抜く頭脳戦がいま、始まる・・・・・・! ? 一見シンプルなトランプの数当てゲームが、裏の裏を読む心理バトルへと変豹する「ラッキーセブン」ほか、ロジカルな企みに満ちた七つの物語。トリッキーな作品世界に、二度ならず三度四度と繰り返して読んでしまうこと必至の短編集!

【目次】
1. ラッキーセブン
2. 小諸―新鶴343キロの殺意
3. TLP49
4. 一男去って……
5. 殺人テレパス七対子
6. 木曜の女
7. ユニーク・ゲーム

1. ラッキーセブン
急に命を賭したドランプゲームをしなければならなくなった女子高生の「悲哀」・・・は全くなく、それぞれが全知をかけて戦う様子をカラリと、且つ理系特有(著者は静岡大学理学部数学科卒業)の丁寧な記述で描き出し、私を楽しい読書の世界に引き入れてくれた。

3. TLP49
ストーリーのルールが解れば、後は結末まで一気に疾走するのみの痛快な名短編。

4. 一男去って……
ブラックテイストな超短編。
他人事を説明するような淡々とした文章が好き。

7. ユニーク・ゲーム
1つ目の「ラッキーセブン」と登場人物・場面は全く異なるが、同じような(ライヤーゲームのような)テイストが漂うゲームを展開していく短編。(ラッキーセブンは相手は敵で、ユニーク・ゲームは相手は味方であるのが正反対。)
「ラッキーセブン」も「ユニーク・ゲーム」もともに単純なルールなゲームだけに、相手との心理戦が激しい。


今回は久しぶりの5つ星(★★★★★)。
「乾くるみ」という名前から女性かとおもったら、50歳の男性だった。
すぐに図書館で別の本を予約した。
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by furomikan | 2014-07-25 23:59 | 読書雑記 | Comments(0)

女チャリダーふれあい日本一周ひとり旅 (よく泣いてよく笑った 700日自転車旅日記)

くぼた まきこ (著)
★★★★★
内容紹介
20代のうちに自転車で日本一周したい ―― 三十路を目前に控えた28歳の<私>は、長年抱いてきた夢を叶えるべく、仕事を辞めて旅に出た。
故郷の岡山を出発し、四国、中国、九州を経て沖縄へ。離島まで足を延ばし、日本の実質的最南端の波照間島、最西端の与那国島を訪れる。 九州に戻り関門海峡を越えてからは日本海沿いを北海道まで北上し、日本最北端の宗谷岬を経て、今度は太平洋に沿って南へ南へとひた走り岡山へ。
汗をかきかきペダルを踏んで、700日かけて日本一周を達成した。道中ではたくさんの人に会い、いろいろなものを見て、この先の人生を考えた。自転車での日本一周は想像以上に辛く、何度もくじけそうになったけど、そのたびに誰かが背中を押してくれた。 よく泣いて、よく笑った、より道ばかりの女ひとり自転車旅日記のはじまり、はじまり~。

日本一周を開始した最初の四国一周では頻繁なパンクを繰り返し、この人大丈夫か??とすごく心配したが、約2年間、途中で実家へ戻ったり、韓国やフランスへ旅したり、富士山や南アルプスの山小屋でアルバイトをしたりとすごく豊かな経験をされたことを素直で誠実な文章で書かれているのを読んでとても楽しい気持ちになった。
若い女性のひとり旅なので、危険なことやイヤなこともたくさんあった反面、死ぬほど多くの親切を多くの人から受けていて、心から羨ましく思った。

旅の後半のクライマックスである北海道の旅が終わったあとの太平洋側の南下部分の記述が箱根越え以外はほとんど無く、楽しみにしていた関西地区の旅がどうであったかが読めなかったのが少し残念だったが、すごく面白い本だった。
本当に素敵な女性で、今は旅の中で出会った松江の男性とご結婚されて母親として活躍されているようです。
きんたのトホホ練習日記
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by furomikan | 2014-01-04 23:59 | 読書雑記 | Comments(0)

大事なことはすべて立川談志(ししょう)に教わった

立川 談慶 (著)
★★★★★
内容(「BOOK」データベースより)
立川談志の弟子だからこそ書けた師匠の才能、鋭さ、怖さ、優しさ…

慶応大学出だから「立川談慶」。

大学卒業後、大手企業のワコールに3年間勤めてから、18番目の弟子として談志に入門。
見習いから始めて前座になるまでにかかった期間が何と1年2ヵ月。
そこで初めて落語家としての前座名をもらったその名が「立川ワコール」。
本来の意味での落語家と言える二つ目になるまでにはさらにそこから9年半もかかった。

二つ目になるまでになぜそこまで時間がかかったかについてこの本は丁寧に書かれている。

あの有名な「冷蔵庫事件」の張本人がこの人だったのか。

読み進むうちだんだん好きになっていく。
談志さんが。

年末の真夜中3時に呼び出されてホウレンソウの冷凍保存処理をさせられるエピソードや近くの農家でキャベツをもらって来いと言われる話、誰かにタバコをもらって来いと言われる話・・・。

銭湯で背中の洗い方を教わる最後のエピソードには談志さんの本質が見事に表れている。
照れ屋でサービス精神が旺盛すぎる孤高の天才の屈折した心優しさが。

そういえば談慶さん、うまいこと言ってたな。
「志ん朝師匠はリズム、談志師匠は理詰め」
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by furomikan | 2013-10-23 23:33 | 読書雑記 | Comments(2)

山口晃 大画面作品集

山口晃 (著)
★★★★★
内容紹介
圧倒的超絶技巧による時空混在の洛中洛外図、新作の平等院襖絵、武者絵、素描などを収録。8年ぶり、待望の最新作品集。

真骨頂の絵画表現とともに、見立て茶室のオブジェ、現代アートに警笛を鳴らす独自開催展覧会〈山愚痴屋澱エンナーレ〉まで、 山口晃の複層的思考を網羅した画期的画集。

寄稿:椹木野衣(美術評論家)、ジョン・カーペンター(メトロポリタン美術館キュレーター)

先日、「かしわ湯」の項で紹介した絵はこの作品集に収録されている絵のうちの一枚である。
この絵のように、細部までキチンと描き込んだ作品が多く、東京タワーを「芝の大塔」として中心に据えた絵や、「六本木昼図」、「広尾六本木」、「日本橋三越」、「成田空港」、駄洒落を山盛りに盛り込んだ京都市内の「洛中洛外図」、瀬戸大橋を描いた「倉敷金比羅図」など見ていてとても楽しく、飽きない。

独特なロープウェーやケーブルカーの絵も面白く、多くの絵の中にお風呂や銭湯が描かれているのも嬉しい。

今後の活躍が楽しみ。
と、私が言うまでもなく既に世界遺産である宇治の平等院の襖絵など奉納されており、大躍進済みである。
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by furomikan | 2013-06-08 23:59 | 読書雑記 | Comments(0)