勝五郎の読書雑記

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武田尾廃線跡

福知山線の生瀬駅から武田尾廃線跡を息子と歩く。
美しい武庫川の渓谷とトンネル内の暗闇が楽しい。
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by furomikan | 2013-02-24 23:59 | その他 | Comments(0)

ひとり旅

吉村 昭 (著)
★★★☆☆
内容(「BOOK」データベースより)
終戦の年、空襲で避難した谷中墓地で見た、夜空一面から朱の光が降りそそいでいた情景。銀行の現金引出し専用機の前で、チャリンと出てきた十円硬貨一枚に一瞬頭が錯乱したこと。小説家を目指す少年からの手紙や、漂流記の魅力について―事実こそ小説である、という徹底した創作姿勢で知られる著者が遺した、珠玉のエッセイ。

学習院大学にいた著者が文芸部の同人誌を発行するための費用を捻出するために思いたった古典落語鑑賞会に学校の事務局が「学習院は芸人を入れたことがないから駄目だ」と講堂を貸してくれなかったことに対して吉村青年は院長先生に直談判した。
「誰が出るんだ?」
「志ん生さんと柳好さん。その次は小文治さんと柳橋さん。それに文楽さんと・・・」
「そんな人たちが本当に出てくれるのか?」
「はい」
「じゃ、乃木大将が院長をやってた時に作った金屏風を貸してやる」
となった話が面白い。1枚50円でチケットを売って1回で5,000円の利益を出したという。

志ん生さんは「宿屋の富」をやったらしく、その志ん生さんを目白の駅まで迎えに行った女学生が氏の奥さんになりそれから50年以上も一緒にいるんだという逸話も面白かった。
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by furomikan | 2013-02-22 23:10 | 読書雑記 | Comments(0)

川崎大師 ~ 安善湯(神奈川県横浜市鶴見区寛政町)

12月23日、大田区の自宅から川崎のお大師さんへ自転車で出かける途中、川崎市の中盛会通り商店街の角の八百屋のキムチ80円の安さが気になって見ていると店のお婆さんが(写真右下に写っている)シクラメンが安くていいから買えと言う。
「シクラメンはえーわ。キムチがエライ安いですね」
「仕入れがいいから。1個?2個?」
「1個」
「80円。バナナも買ってけ」
「100円分は多過ぎますわ」
「じゃあ20円分だけでも買ってけ」

100円で10本くらいだっのて2本だろうと思ってると3本だという。買うことにした。
袋にバナナを入れて持って来たお婆さんに20円渡して袋を見ると4本入り。「お兄さん男前だから」と喜ばしてくれる。
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迷って、二人に道を聞きやっとたどり着いた川崎大師。
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落語でもよく出てくるのこのお寺、さすがに立派だった。
五重塔を見ながらさっき買ったバナナを1本食べ、それからポットに入れたコーヒーとチョコパイを食べた。
夜から縁日が始まるのか、寅さんの同業者たちが忙しそうに開店準備に勤しんでいた。

南西にある至真門から入ったので八角五重塔を見てから大本堂、大山門、仲見世通りと逆順での見物となった。
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仲見世通りにある飴屋が包丁音をリズミカルに発していたが立ち止まる客はいなかった。
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この日の目的は川崎大師ではなく横浜市鶴見区の銭湯。
久住昌之の本で読んだ寛政町の安善湯に行きたかったのだ。
途中、入浴心をそそる銭湯乙女湯の前や川崎のコリアンタウン(セメント通り)を通って寛政町の銭湯に到着した。
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町外れのセメント工場の社員用入浴施設が銭湯に転身したらしく、確かにそういった雰囲気がある。
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地元の客が2~3人おり、番台に座らずそちこちをウロウロして彼らと親しげに世間話をしていた大将がよそ者の私には全く愛想がなかったのだけは残念だった。
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浴槽は丸型で、浴室自体は正八角形。どちらもとても珍しい。
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その円い浴槽の上には、同じく円い湯気抜きがある。これも珍しい。d0188185_22271323.jpg

この横浜市の外れにある銭湯に富士のペンキ絵があるとは思っていなかった。
この富士山のトンガり様、お気づきの方もいるかもしれないが、文京区目白台の月の湯にある富士山と同じ、早川絵師によるものだ。右下には「山梨」と書いてある。
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もう一つ珍しいのは早川氏の絵がこの一枚だけではなくもう一つ、女湯との仕切り壁にもあることだ。
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これには「近江」と書いてあるから琵琶湖だ。琵琶湖だが米国ユタ州のアーチーズ国立公園のようだ。

もう一つの特徴は湯が熱いこと。右半円の湯の温度はおそらく50度近くあったのではないかと思うぐらい、熱かった。
3回くらいチャレンジしたが無理だった。一緒に入っている客に聞くといつもこんなに熱いといい、やりたかったら水で埋めてもいいというので、ザブザブ水を注ぎこんでやっと入れたがやはり少し悔しかった。

小さいながらもいろいろと心に残る名銭湯だった。
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by furomikan | 2013-02-18 23:19 | 銭湯 | Comments(0)

金星を追いかけて

アンドレア・ウルフ (著), 矢羽野 薫 (翻訳)
★★★★☆

去年の6月6日に金星の日面経過(太陽面通過)を見たときには、250年も前にこの天体現象にこれほどの情熱をかけていた人達がいたとは思ってもいなかった。

世界で初めて金星の日面経過を観測したのはジェレマイア・ホロックスという英国の天文学者で、それは1639年12月4日のことだったという。
その17年後に生まれた、同じく英国のエドモンド・ハレー(ハレー彗星で有名)が1716年に発表した論文で後輩たちに呼びかけたのが次回の金星の日面経過の観察プロジェクトだった。

金星の日面経過は基本的に8年おきの2回がひと組になっていて、それが100年以上の間隔で起きる。
1639年12月4日のあとはこんな感じ。

1761年6月6日と1769年6月3日
1874年12月9日と1882年12月6日
2004年6月8日と2012年6月6日
2117年12月11日と2125年12月8日

ハレーが論文で呼びかけた時代、例えば地球と木星の距離は地球と太陽の距離の約5倍ということまでは解っていたが、絶対的な距離までは掴めていなかった。
でも地球の北半球・南半球のいろいろなところで金星の日面経過を観測すれば、太陽系の正確な大きさが計算できるのだということをハレーは訴えたのだった。

その号令を受けて、西洋の科学者・天文学者が必死になって、文字通り命懸けで1761年と1769年の日面経過を観測する(同時に極寒の奥地や南半球の大洋へ大冒険する)様子が描かれているのが本書である。

「世界各地で天文学者はそれぞれ最後の準備に追われながら、一大事業のもとに集結していた。国籍も宗教もバラバラで、数千キロの旅をした者もいれば自国にいる者もいて、長さ七・五メートルの望遠鏡もあれば手で持てる大きさの望遠鏡もあった。しかし全員が、共通の目的を目指していた。七年戦争の真っただ中にありながら、天文学者は科学と知識の名のもとに、国境も戦闘も乗り越えた。金星の日面経過が始まるまで数時間。あとは天気が味方してくれることを祈るしかなかった。」

一番印象に残ったのは唯一人、1761年と1769年の2回、金星の太陽面への入りと出の両方を観測したフランスの天文学者シャップ・ドートロシュという人である。
2回目の観測成功の8日後、バハ・カリフォルニアの観測地に蔓延していたチフスに罹り、死を覚悟するが、その一週間後の6月18日に起きる月食を観測しないと自分の居る地の経度が確定できず、その確定経度が分からなければ日面経過で得られた数値も使い物にならないということで、高熱・頭痛に打ち勝って月食を観測しきった。(その後、8月1日に47歳で死去。)

本の内容というよりは、これらの事実があったということに感動した。
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by furomikan | 2013-02-14 23:59 | 読書雑記 | Comments(0)

其礼成心中

三谷 幸喜 (著)
★★★☆☆
三谷文楽「其礼成心中(それなりしんじゅう)」の底本。
「特別ではない、一般の人たちの物語を掘り下げる。それがこの作品のメインテーマです。__三谷幸喜」
三谷幸喜が日本の伝統芸能、文楽に初挑戦。
『曾根崎心中』の裏版『其礼成心中』は笑いと涙に溢れた人情物語です。

文楽って面白いのだろうか?
(歌舞伎は面白くなさそう。)
三谷幸喜の文楽に触れて文楽を判断しようと思って読んだわけではなく、図書館の推薦書棚に並んでいて単に手に取っただけだが、底本を読んだだけでは面白いかどうかの想像がつかない。

曽根崎心中といえば25年位前に見た宇崎竜童と梶芽衣子の映画を思い出す。これは面白かった。(1978年 増村保造監督)
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by furomikan | 2013-02-05 23:59 | 読書雑記 | Comments(0)