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勝五郎の読書雑記

山田洋次の<世界>

切通 理作 (著)
★★★☆☆
内容(「BOOK」データベースより)
八〇本近い作品を生み出し、いまなお現役である稀有な映画監督・山田洋次によって演出された「なつかしい日本人」の正体をいま解き明かす。初期の喜劇から、シリーズ「男はつらいよ」、さらには国際的な評価を受けた時代劇まで、全作品を一次資料から徹底的に検証。そのエネルギーは死に向かうことで生まれ、「少女」への禁欲がマドンナに内包される。そして「バカ」と呼ばれた人間が鏡となって映し出すものとは?―多面的な考察を通して、日本一国民に愛されている巨匠が持つ「隠し剣」の閃きを感じ取る。

「『キング・コング』という映画があったが、私はあの映画の監督が気の毒に思えてならない。モーターで動くゴリラを撮して、なにが楽しいのだろうか」という山田洋次の言葉が印象に残った。
キングコングの映画を見ていないので分からないけど、モーターで動くゴリラが出てくる映画でも人間の心の中の微妙な動きを描いていればいいのではないか。ということで、ちょっと言い過ぎのような気もするが、言いたいことはよくわかる。

高度なCGや特撮、3Dの技術を駆使しなくても「友だちのうちはどこ?」(1987年/イラン/アッバス・キアロスタミ監督)や「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」(1985年/スウェーデン/ラッセ・ハルストレム監督)などの静かな名作は多く、そんな映画の方が心に深く残る。

しかし、キングコングの(遥か)延長線上にある映画でも、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のような巨大な娯楽名作もあるし、アホなB級映画でも「トレマーズ」のような愛すべき名作もある。
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by furomikan | 2013-07-30 07:40 | 読書雑記