勝五郎の読書雑記

ひとり旅

吉村 昭 (著)
★★★☆☆
内容(「BOOK」データベースより)
終戦の年、空襲で避難した谷中墓地で見た、夜空一面から朱の光が降りそそいでいた情景。銀行の現金引出し専用機の前で、チャリンと出てきた十円硬貨一枚に一瞬頭が錯乱したこと。小説家を目指す少年からの手紙や、漂流記の魅力について―事実こそ小説である、という徹底した創作姿勢で知られる著者が遺した、珠玉のエッセイ。

学習院大学にいた著者が文芸部の同人誌を発行するための費用を捻出するために思いたった古典落語鑑賞会に学校の事務局が「学習院は芸人を入れたことがないから駄目だ」と講堂を貸してくれなかったことに対して吉村青年は院長先生に直談判した。
「誰が出るんだ?」
「志ん生さんと柳好さん。その次は小文治さんと柳橋さん。それに文楽さんと・・・」
「そんな人たちが本当に出てくれるのか?」
「はい」
「じゃ、乃木大将が院長をやってた時に作った金屏風を貸してやる」
となった話が面白い。1枚50円でチケットを売って1回で5,000円の利益を出したという。

志ん生さんは「宿屋の富」をやったらしく、その志ん生さんを目白の駅まで迎えに行った女学生が氏の奥さんになりそれから50年以上も一緒にいるんだという逸話も面白かった。
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by furomikan | 2013-02-22 23:10 | 読書雑記 | Comments(0)