勝五郎の読書雑記

漂流記の魅力

吉村 昭 (著)
★★★☆☆
出版社/著者からの内容紹介
日本にはイギリスの海洋文学にあたるものがない、といわれてきたが、江戸時代に漂流して帰還した者たちから聴取した、何作もの「漂流記」こそ、日本独自の海洋文学ではないのか。ここに、1793年、奥州石巻を出港し、難破してロシア極東沿岸に漂着した「若宮丸」の漂流聞書き『環海異聞』がある。極寒の辛苦に耐えてロシアに10年、生き残った津太夫ら四人の水夫は、鎖国日本へ開港を促すロシアの使節船に乗船し、日本人初の世界一周の旅に出る。夢に何度も見た故国の地を踏んだ彼らを待っていたのは、厳しい取り調べだった。しかし、彼らは『環海異聞』という貴重な証言を残してくれた……。
これまで、六篇の「漂流小説」を書いてきた私(著者)は石巻に赴き、200年前、「若宮丸」が出発したかもしれない港を遠望する高台に立ち、深い感慨にふけるのである。

ロシアに流れ着いた「若宮丸」の船乗りたちの小説を吉村昭は書きたかったに違いない。
しかし小説家として自分に残っている時間と他の書きたい題材とを検討した結果、小説にまで仕上げるまでの時間は費やせないと判断し、この本のような形で残すことにしたんだと思う。
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by furomikan | 2012-04-18 23:13 | 読書雑記 | Comments(0)