勝五郎の読書雑記

江戸の卵は1個400円

丸田勲 (著)
★★★★☆
内容(「BOOK」データベースより)
大河ドラマに映画、時代小説、または落語にいたるまで、主人公が食べている蕎麦は一杯いくらなのか、誰もが憧れた伊勢参りの平均旅費はどのくらいだったのか、頻発する大火による被害損失額はどれほど甚大だったのか―。本書では、町人文化が花開いた文化・文政期(一八〇四~一八二九)に焦点を当て、諸物価を円に換算していく。

著者が苦労して色々と当時の物価を調べ上げたことがよくわかる。
まえに読んだ「落語のひみつ」という本の項で
 小判一枚 = 一両 = 一分金4枚 = 一朱金16枚 = 銅銭4000枚(4000文)
 一文は12.5円となる。(そうすると一両は50,000円)
と書いたが、この「江戸の卵は1個400円」という本では換算の比率が違っていた。

慶長14(1609)年に徳川幕府が定めた公定相場では確かに「一両=4000文」、さらにこれは「=銀50匁」となっており、当時このレートよりも市場は概ね銭高であったという。
さらに明暦3(1657)年の江戸での大火で大量の銭が消失して公定相場の維持が困難になり公式にも「時々の相場で以って取引せよ」となった。それでもずっと銭高相場であったがその後、明和5(1768)年に真鍮四文銭が発行されてから徐々に銭安が進み、寛政3(1791)年に「一両=6000文」になって幕府が銭を買い上げて「一両=5200文」まで戻した。
しかしその後も銭安は止まらず、文化文政年間(1804~1829年)には「一両=6400文」になっていたという。
で、この著者が色々調べた所では「一文=現在の20円」くらいが相当であるという結論に達していて、そうすると「一両=現在の128,000円」となる。

このレートで考えると二八蕎麦の一杯16文は320円で、与太郎が滞納した家賃の「一両二分と八百」は10,400文で208,000円となる。
この本には裏長屋の家賃相場も書かれていて、それは1ヵ月400~600文と書かれていた。
1ヵ月の家賃を400文とすると「一両二分と八百(=10,400文)」は2年4ヵ月分、1ヵ月600文とすると約1年5ヵ月分の家賃を溜めていたことになる。

以下、この「一両=6400文」、「一文=20円」という相場に従って、現在の金額への変換を修正しておく。
「一文笛」の笛は一文で20円。
「雛鍔」でオハッサイの若様が庭で拾ったのは「裏に波があって・・・」ということから四文銭だと分かったので80円。
「鼠穴」の竹二郎が兄(アニ)さんからもらった三文は60円。
「火焔太鼓」の甚兵衛さんが仕入れてきた太鼓は一分で32,000円。
「芝浜」(桂三木助)の勝五郎がちゅーちゅーたこかいなと数えた82両は1,049万6,000円。当分遊んで暮らしたくなる。
「柳田格之進」で柳田格之進が盗んだとされたのが50両で640万円。
「文七元結」の文七が左官の長兵衛に投げつけられたのも50両の640万円。そらオカミさんは一晩中尻をだして激怒する。
「帯久」の和泉屋与兵衛が”売れず屋”の帯屋久七に最初に貸した20両は256万円で、最後に貸した100両は1,280万円。
「お神酒徳利」で出てくるのは75両(960万円)に30両(384万円)、5両(64万円)、300両(3,840万円)と景気が良い。
「崇徳院」の熊五郎が親旦那から約束してもらった褒美も300両と蔵付きの借家五軒とそれまでの借金棒引き。
「千両みかん」の夏の蜜柑は1個千両でこれはなんと1億2,800万円!
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by furomikan | 2012-03-07 00:01 | 読書雑記 | Comments(0)