松丸家小弁太の一座「劇団松丸家」
西成区の梅南座(大阪市西成区梅南1-8-21)。
西成区はよくよく考えてみれば身近な大正区の隣にある区で、人に例えると友達の友達だ。
正午からの開演まで30分あったので近くの食堂で昼ごはんを食べた。
うつぼ食堂の日替わり定食は煮込みハンバーグに冷めたエビフライとイカフライ、唐茄子フライなどが付いて650円。
店の人は愛想がよく、昼から瓶ビールを飲んでいる人も多かった。
さて、大衆演劇。
今回見たのは大阪には3年ぶりという松丸家小弁太率いる「劇団松丸家」。
座長の小弁太さんは恐らく27-28歳くらいだが12年も座長をしているという。
男前で滑舌が良く歌もうまい。
第一部のミニショー(約30分)から、第二部のお芝居(約1時間)、座長口上と客席での前売り券販売(約15分)、第三部の歌と踊りのショー(約1時間)まで、座長自らの働きっぷりが凄い。
20代は座長小弁太さんひとりで、他は13歳の翔くんや17歳のともやくんなどの10代と、花形咲田せいじろうさんとお姉さん方30代。(初代座長の松丸家美里さんは別格)
正午ちょうどに開始して、終演が午後3時20分ごろ。たっぷり3時間以上楽しんで入場料はたったの1,300円。
終演後もお客さん一人ひとりに握手をして見送ってくれる。(今日のお客さんは50人弱くらい)
これが昼の公演で、夜の部はまた午後5時半から同じように3時間以上の公演をするようだ。
1ヵ月ごとに芝居小屋を替えていくが場所はこの梅南座のような大衆演劇専門の劇場もあれば大型の温泉旅館や健康ランドなどいろいろある。
梅南座では公演は3月30日のお昼の部までで、4月は生野区桃谷の明生座に移られる。
梅南座階上には役者さん用が炊事・宿泊できる生活場所も用意され、これは他の小屋でも同じみたいだ。
旅回り劇団の子ども達はその土地土地の学校から学校へ転校を繰り返す。小学校までは何とか出来る限り通うことも多いが、中学校になってくると役者の子ども達は地元の不良にいじめられるような事も多く、転校してもあまり通学しないこともあるという。
大変な世界だが皆さん誇りを持ちながら楽しく仕事をされているのがヒシヒシと感じられた。
そうそう、この梅南座では劇場内で味のよくしゅんだおでんを1つ100円で3個以上から販売している。
アルミ製の無骨なお盆も貸してくれるので観劇中もそこらにこぼさず食べられる。
今日の第二部の芝居中、お客さんの一人がこのアルミのお盆をガラガラガッシャンと大きな音を立てて落としてしまった。舞台ではメシ屋の婆さん(初代座長)が旅人(座長)へのご飯を用意しに店の中に入っている時で、そのあと戻ってきた婆さんに旅人が「婆さん、何かお盆を景気よくひっくり返していたようだが大丈夫かい?」と機転を利かせたセリフでこの一件を見事に収束させていた。
今度行くときは小腹を空かせてワンカップ持参でゆったり酒を飲みながらおでんを食べて楽しみたい。
今日は入れなかった、梅南座近くの太平湯。
食料品一式を商うツルタニ商店が町に溶け込んでいる。
帰りは利用したことのない落合上渡船で大正区へ渡る。