勝五郎の読書雑記

高熱隧道

吉村 昭 (著)
★★★☆☆
本の内容
黒部第三発電所——昭和11年8月着工、昭和15年11月完工。人間の侵入を拒み続けた嶮岨な峡谷の、岩盤最高温度165度という高熱地帯に、隧道(トンネル)を掘鑿する難工事であった。犠牲者は300余名を数えた。トンネル貫通への情熱にとり憑かれた男たちの執念と、予測もつかぬ大自然の猛威とが対決する異様な時空を、綿密な取材と調査で再現して、極限状況における人間の姿を描破した記録文学。

生麦事件」の項で「これまで読んだ吉村昭作品の中で一番面白かった「漂流」を超えた面白さ」と書いたが、「漂流」は決して「生麦事件」に劣っていない。それは読んでいて、困難の中にも幾つもの希望・喜びがあったからで、これは「生麦事件」でも同じだ。

しかしこの「高熱隧道」。名作の誉れ高いが大自然の脅威と軍国時代の狂気だけで辛さとやるせなさしかない。こういう作品は吉村昭の著作には多いが、この作品はひとつ突出している。
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by furomikan | 2011-10-27 00:18 | 読書雑記 | Comments(0)