屠場
★★★★☆
<内容紹介>
筑豊やチェルノブイリの記録を発信してきた本橋成一が、故なき職業差別と身分差別に抗いながら、大阪・松原の屠場でいのちと向き合う人びとを追った、渾身のドキュメント。
1980年代半ばに撮影された全編モノクロの写真集。
一度目は最初からざっと目を通し、二度目はじっくりと写真を見た。殺される直前の牛が目をひん剥いている写真。鉄棒が飛び出る特殊なピストルで眉間を撃たれた直後の牛が巨体を崩落させている瞬間の写真。剥がされたあとの皮の写真。ナイフとヤスリ。タイルの割れ方が何故か残酷な感じの模様になっている壁。
所々で何の場面かわからない写真があったが、最後までよく見ると大体の写真に短文解説がついていたので、三度目はそれと照らし合わせながら二度目よりもさらにじっくりと鑑賞した。
ため息が出るほどみんな真剣に働いている。
写真集は時々見るがこれほど何度も見返した写真集はない。見るのは人の顔だ。